りら

予防接種をしても免疫が形成されない。一生持続すると考えられていた免疫が、何年かたつと消滅してしまう。世間に予防接種が行き届いた結果、病気になる人が激減し、人間はその病原体に触れる機会を持てない。すると体内の抗体は機能しないまま、いずれ消滅してしまう。そして予防接種をしていたからと安心していたら、思いがけず病気になってしまうということがある。その他、諸々、公衆衛生が発達して結果、人間は外敵にもろくなってしまった。病気が猛威を振るった時代、予防接種は人類を救う救世主のように感じられたと思う。それが結果として、人間を弱くしてしまったというのは、なんとも皮肉なものだ。 他にも同じような例はいろいろある。例えばフロン。これを作り出したときは、夢の工業製品だったことだろう。誰もオゾン層破壊という結果が待ち受けているとは予想だにしなかった。 地球温暖化もそうだろう。化石燃料を自由自在に使いこなせるようになって人間の生活は飛躍的に進歩した。皆、自分たちが幸せだと感じた。でもその結果、二酸化炭素が増加し地球の温度が上がり、今や、気象異常が頻発している。 人類の発展や皆の幸福のためによかれと思って成し遂げた技術の開発が、予想もしない結果を引き起こしたからといって、誰も責めることはできないと思う。これはもう連帯責任で、人類みな等しく、負わなければならないことだろうと思う。